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冬から夏への贈り物 – ユネスコの無形文化遺産に登録された『小千谷縮』

横糸に強い撚りをかけて織り、最後に手作業で湯もみしてシボを作り独特の風合いを出す。近年は機械で作られる反物も多いが湯もみだけは手作業となる。

冬になると必ず布が生まれる土地

越後の空は広く、そして越後の山はでかい。夏には青い稲穂が風になびき、祭りでは大きな花火があがる。秋には黄金の稲穂が米の実りに頭を垂れる。豊穣の秋が終わるとシベリアから寒気団が到来する。空には分厚い雲が被さり、ふわふわと白い雪が舞い降りてくる。やがて天地左右すべての世界が白銀に飲み込まれてゆく。そうして幾度の冬が越後にやってきたことか。そしてその冬のたび必ず布が生まれてきた。「今年の雪は多かろか?」

夏の涼しさを願いながら雪中で糸を紡ぎ布を織るのは女の仕事。家族皆が冬を無事に越せるよう、盛夏に汗を流して黙々と薪を割るのは男の仕事。小千谷縮は、越後の人のお互い様の思いやりから生まれた冬から夏への極上の贈り物なのだ。

重要無形文化財に指定された小千谷ちぢみの着物反物。いくつもの行程を得た秀逸な手作りの一反は、現在一年に数本しか完成しないという。

写真・文/飯田裕子 Yuko Iida

(社)日本写真家協会会員日本、海外の旅、手仕事、クラフトの取材と撮影を25年にわたり手がける。ライフワークでは、オセアニアの島々、環太平洋地域の先住民やアジア、ヨーロッパの土地固有の自然と繋がる文化を撮影し続ける。著書「フィジーの魔法/千早書房」写真展多数。

http://yukoiida.main.jp/

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