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きれいな街の理由

道路

清掃が行き届き、ゴミがない道路は通行する車や人の安心・安全を担保する

先行車に搭乗する3人は、先行して路面の状況を確認するリサーチャー。後続車が作業しやすいように、散らばったゴミをまとめるなど、こまめな作業を行う。

東日本大震災以来、都内では自転車を利用する人が急増した。バイクや車と競うように一般道を走るのだから、当然危ないシーンも増えている。何らかの拍子での転倒は、後続の車への大きな脅威であり、ともすれば災難となる。道路上には大小様々なゴミや砂が落ちているため、自転車に限らず、車輪がスリップしたりパンクしたりする危険は常に付いて回る。

総じて日本の道路は清掃されきれいだが、実はこの“ 美しさ”が、交通事故の回避に少なからず寄与しているのだ。

東京23 区内の道路清掃は、都道を26 のブロックに分け行われている。交通量や道路の規模によって頻度は変わるが、各ブロックにはそれぞれ6つの清掃の順路が設けられている。いずれも40Km ほどの距離で、このコースを順番に清掃車が巡る。

黄色と白でカラーリングされた清掃車は4台でひとチームを編成。「先行車」と呼ばれるトラックを先頭に、水を積み込んだ「散水車」、全面にブラシを持つ異形の「スイーパー」と続き、最後に大型の「ダンプ」という布陣である。道路清掃の機械化は1959 年に始まり、1961年にロードスイーパーを輸入してから本格化した。

この4台のカルテットが真夜中の東京を縦横に走りながら、都道のゴミを片っ端から集めて処分しているのである。

作業当日は、まず担当コースの確認、車両点検を行い、夜9 時に出庫。8 時間ほどの作業を終え、車庫に戻るのは朝5 時頃。そこから車両の点検と清掃を行い、作業の報告を行う。すべて終了するのは、朝7時近いこともある。

主な作業は、もちろん安全通行を妨げるゴミの回収だが、路面ばかりでなく、歩道のゴミも見逃さない。側溝にゴミが詰まっていると大雨の時に道路が冠水してしまうため、そこのゴミも丁寧に取り除く。「最も危険なのはビニール袋です。風に舞ってフロントガラスに張り付けば、大事故に繋がる恐れもありますから。見つけたら必ず回収します」

こう話すのは、一般社団法人東京道路清掃協会 技術部会安全委員長の望月孝一さんだ。通行人や交通量が少なくなった真夜中の作業。しかも清掃車は6Km/hの低速である。それでも安全確認は欠かせない。「時には酔っぱらった人を介抱することもあります。特に注意が必要なのは自転車ですね。帰宅を急ぐあまり、無茶な追い越しでヒヤリとすることも絶えません。また、低速走行を煽ってくる車もあります」「東京23 区内の一年あたりの清掃作業の延べ延長は25 万km 超。一日あたり約100 台の車が清掃に従事し、ゴミの量は一日8トン。年間で2000トン以上(平成23 年度)になります」

と、説明をしてくれたのは、足立区、荒川区、北区、台東区、文京区の都道の整備、維持管理を担当する、東京都第六建設事務所の補修課長・長尾肇太さんだ。

1300万人が暮らす東京では、道路や街づくりに対する意見も多様化している。自転車が走りやすい道が欲しいという人もいれば、緑がもっとたくさんあった方がいいという声もある。「さまざまな声に応えて、街づくりを行うのが私たちの仕事です。自転車用のレーンを設置したり、街路樹を増やすなどの事業も行っていますが、道路を安全、かつ快適に利用して頂くためには維持管理が重要。道路清掃は欠かせないことなのです」(長尾さん)

通勤、通学時にふと視線を向ければ、昨晩道に散らかっていたゴミが消え、きれいな道が広がっている。景色を楽しみながら、安全に歩けることは、とても気持ちがいいものだ。

「日本人の清潔好きが、きれいな街をつくると思います」と話す、第六建設事務所の補修課長・長尾肇太さん。

連携プレーで緻密な掃除

知っていましたか? 夜中に走り回る4台の清掃車のこと

ゴミの状況をいち早く確認、処理の方法を即決

先行車

ゴミの状況をいち早く確認、処理の方法を即決

3 人が乗り込み1 時間ほど先行してコースをチェック。スイーパーが取り切れない歩道などにゴミを発見すると車を降り、箒を使って掃き出す。大きなゴミは、後続車の作業に支障がないように撤去する。

散水車

スイーパーの作業による埃を防ぐ水を撒く

後続のスイーパーがブラシを回転させる前に、道路の端にあらかじめ水を巻き、埃が立つのを防ぐ。タンクの容量は6500ℓ。冬季は水の量を少なくして、凍結しないように配慮。

スイーパー

路面のゴミをきれいに取り込む花形

道路の端にたまるゴミや落ち葉を回転するブラシで取り込み、フロント部分のホッパーに溜めるスイーパーは、小回りが利く3 輪仕様。車高が高いため前後左右の6 つの鏡でブラシの位置を確かめる。

ダンプ

スイーパーを防御し、大量のゴミを運ぶ

スイーパーが取り込んだゴミが一杯になると、前へ回りゴミを回収する。スイーパーは時速6km の低速運転のため、追い越そうとする一般車両との衝突をガードする。

勢揃いした道路清掃のチーム。右から先行車、散水車、スイーパー、ダンプ。