| JQR Special

きれいな街の理由

地下鉄の駅

美しく磨かれた東京メトロの駒込駅。いつもきれいなその理由は?

通りすがりにゴミを捨てる人。立ち去る時にゴミを置き去りにする人。人が集い、通り過ぎる場所は汚れるもの。往来の絶えない駅は、それに加えて髪の毛や衣服の埃など、まさに汚れるのが当然である。ところが東京メトロの駅では、気になるほどの汚れを目にすることはまずない。総勢720 名の清掃スタッフが、日々美しく清潔に駅を磨いているからだ。

9 路線に179 の駅を持つ東京メトロ。清掃スタッフは数駅毎に設置されている連絡所に毎朝8 時30 分に集合し、軽く体操をしてからそれぞれ持ち場となる駅に向かう。移動はもちろん地下鉄だ。

着いたらホームを一周し、落ちているゴミを拾う。続いてゴミ箱を回収し、倉庫で可燃、不燃、ビン・カンの分別をする。雑誌の発売日には、倉庫の天井に届くほど雑誌が積み上げられるという。午前中は階段、エスカレーターの手すりの拭き掃除が中心。簡単そうだが、利用者がいるため気が抜けない。「特に階段は注意が必要ですね。年配の方や妊娠されている方などが転倒しない様に、手すりを使うお客様が10 段前後に見えたら、そこから離れて場所を空けます。事故を未然に防ぐのも私たちの役割です」

と、駒込連絡所主任の五十嵐明さん。その腰には、常に雑巾とゴミ袋がある。ホームに降り立った瞬間から目を光らせ、汚れを見つければ、その場で素早く処理するという。例えば、床にこぼれたジュースはすぐに拭き取らないと、乗客がその上を歩いて汚れが広がってしまう。素早い対応が必要だ。「目についたところ、汚いと思った箇所を優先して掃除するので、作業毎に決まった順路はありません。ですが、吹きだまりには自然とゴミが集まりやすく、すぐに溜まってしまいます。そうした駅毎の“ 弱点” を見つけて、早めに掃除することも肝心です」

午後はホームドアや壁の掃除に移る。状況に応じ、背負い式の掃除機や、床面洗浄機を投入して、徹底的に汚れを落とす。「お客様に嫌な思いをさせない環境を作るのが、私たちの仕事だと思っています」

地下という空間はともすれば圧迫感が否めないもの。清潔できれいな駅は、そんな閉塞感を感じさせず、気持ちよく利用できる。五十嵐さんが陣頭に立つ駅は、今日もピカピカだ。

各駅に割り振られる清掃スタッフは、ホームや駅に3人、トイレに1人程度。落ち葉の吹き込みが多い駅や、イベントで利用客が増える駅には多めに割り振られる。

ミーティングでは駅毎の汚れの状況や、作業の段取りなどを話し合う。