2020年への東京物語 [第1回]

江戸の大名庭園

その美しき庭を歩く

| 大名庭園

小石川後楽園

Koishikawa korakuen

蓬莱島と竹生島を配し、琵琶湖を模した「大泉水」(左上)。朱舜水が設計したと言われる「円月橋」。水面に映る姿を合わせると満月に見える(左下)。光圀が史記「伯夷列伝」を読み感銘を受け、伯夷・叔斉の木像を安置した「得仁堂」(右上)。園路には美しい石段が続く(右下)。

  寛永6年(1629年)に水戸徳川の祖である水戸頼房が江戸の上屋敷として造園を開始し、二代目藩主・光圀の代に完成した回遊式庭園。今は閉ざされている東門の向こう、現在の東京ドーム辺りが水戸藩の屋敷であった。敷地は最大時で約8万8千坪と広大だったが、現在の後楽園は約2万坪である。大泉水の周囲に「海の景」「川の景」「山の景」「田園の景」のテーマで景色を配置し、変化に富んだ歩くに楽しい庭園だ。光圀は園名を選ぶに際し、明の儒者である朱舜水に命じた。朱舜水は范文正(中淹)の『岳陽楼記』にある「士はまさに天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」にちなみ「後楽園」と名づけた。水面に映る様子が満月のように見える「円月橋」は、その朱舜水による設計と言われている。

江戸時代の早い時期に描かれた「水戸様小石川御屋敷庭之図」(明治大学博物館蔵)。絵図の右上には河原書院や能舞台があり、池の形状なども現在とは大きく違うことから、大改造が行われる前の庭園と言われている。

樹形が見事な「一つ松」(左)。中国杭州にある蘇堤に見立てた「西湖の堤」(右)。「小廬山」越しに「大泉水」を望む(下)。

小学生の田植体験

「田園の景」がテーマの庭園北側に、光圀が農民の苦労を彼の嗣子・綱條の夫人に教えようと作った稲田がある。その伝統を守ろうと、1975年から毎年、地元の小学生が5月に田植えを、9月には稲刈りを行っている。裸足で田んぼに入るのが初めての子どもたちは、それだけで大騒ぎ。庭園の管理者の指導の下、慣れない手つきで苗を植え、稲を刈り、農民の苦労のほんのさわりを体験している。


DATA

所在地/文京区後楽1丁目
電話/03-3811-3015
休園日/12月29日〜1月1日
入園時間/9:00〜16:30(閉園17:00)
入園料/一般300円、65歳以上150円※小学生及び都内在住の中学生は無料

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