旅行作家 山口由美さんに聞いた – 日本のいい宿、いいホテル[第4回] – あさば

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Q.高級旅館に憧れています。初めて泊まるならどこがいいですか。(大手コンピュータ会社SE、35歳、女性)

著名人が通う高級旅館に泊まってみたいと思っています。でも、敷居が高そうですよね。美味しい懐石料理に優雅な客間、源泉掛け流しのお風呂と素敵なお庭。そんな贅沢を存分に味わいたいのですが、かえって気疲れするのではと心配です。

A.多くの人に愛されるあさばならば心配ないですよ。(山口)

高級旅館というと敷居が高いと思われがちですが、いい旅館ほど、実はお客様をリラックスさせる術を知っています。 あさばは、フランスに本部をおくルレ・エ・シャトーのメンバーでもあり、外国人の利用も少なくありません。小説の舞台にもなった、 多くの人に愛される旅館。その人気の秘密を探りに行ってはいかがですか。

 

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萩の間の客室から広縁の向こうに庭を臨む。宿泊予約はできるなら電話で。好みを宿に伝えることで、より快適な宿泊を演出してくれる。

 

1489年創業の老舗旅館で日本旅館の贅を味わう

 

打ち水で清められた玉砂利を歩く。玄関口には大きな暖簾が5月の爽やかな風に揺れ、開放的なロビーの向こうには大きな池と天城山に連なる緑がパノラマのように広がっていた。

足を踏み入れた瞬間から、いい宿だな、との予感が。まず目を見張ったのは、館内には余分な装飾がなく、隅々まで丁寧に掃除が行き届いていることだ。凜と張った空気感が気持ちよい。それは、緊張と安らぎの絶妙なバランスの賜物だろう。

笑顔で迎えてくれた仲居の文子さんに通された萩の間は、8畳と6畳の客間だった。それに半露天の内風呂とトイレ、洗面台、そして客間に接して一段下がった広縁がついている。さすが高級旅館。贅沢な間取りに感激。聞くと、以前は26部屋だったものをいくつか統合し、17部屋に改装したのだという。

しばし休憩。広縁から眺める庭のなんと心和むこと。苔と木々が織りなす景色の中に燈篭が置かれ、小川が流れている。こんな素敵な庭を独占できるなんて。と、ゆっくり眺めていたいのはもちろんだけど、夕食前に露天風呂に直行。源泉掛け流しの豊かな温泉に浸かり、疲れを流して心も体もリフレッシュする。

夕食はもちろんお部屋で。季節の素材、地元の素材をふんだんに使った懐石料理は全12品。解禁になったばかりの鮎の炭火焼きが登場してびっくり。目の前で焼き上がったばかりの鮎をほくほくしながら頂く。ことのほか美味。満室になると宿泊客は40人ほどだが、調理場ではなんと8人の料理人が腕を振るっているとか。美味しい料理がいつでも堪能できるので、常連が多いのも頷ける。

風が渡る池には「月桂殿」と名付けられた能舞台がある。ここで年に何回か能•狂言や古典の音楽(笛•琵琶•琴•和太鼓•雅楽)などの舞台が開催されているという。日本の伝統に浸りながら美味しい料理を堪能する一夜。次回は、舞台の鑑賞込みで宿泊しよう。

 

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600坪の池には「月桂殿」と名付けられた能舞台があり、年に何回か能や狂言の舞台が開催されている。写真右は鮎の炭火焼。季節の一品。

 

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間取りは様々で、17部屋それぞれ違った趣がある。ベッドのある部屋も2つあるので、和洋のリクエストが可能。

 

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豊富な湯で源泉掛け流しという贅沢。風呂場も丁寧に磨かれていて心地よい。椅子が置かれている広縁。四季折々の風景を愛でながら、のん びり寛ぐには最高のロケーション。

 

あさば
静岡県伊豆市修善寺3450-1
0558-72-7000
1人1泊2食37,950円~78,900円(税・サ込)
※英語対応可
※7歳未満は宿泊不可

[アクセス]
●電車を利用の場合
新幹線の三島駅から伊豆箱根鉄道で修善寺まで30分。修善寺からタクシーで約7分。
●車を利用の場合
東京から東名高速を利用し沼津まで約60分。沼津から136号線で約50分。

※あさばは厳選された世界の一流ホテル・レストランのグループ「ルレ・エ・シャトー」のメンバー。詳細はhttp://www.relaischateaux.com/で。

 

山口由美(やまぐちゆみ)
旅行作家。著書に『帝国ホテル・ライト館の謎』(集英社新書)、『消えた宿泊名簿~ホテルが語る戦争の記憶』(新潮社)、『旅の窓から』(千早書房)、ほか。

 

写真/内藤サトル 聞き手/JQR

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