お祭り列島見て歩き Vol.5 – 芸と農の大共演 – 住吉大社の御田植神事

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Matsuri 1

 

盛大な祭りで実りの秋を願う

ジメジメした梅雨時に出かけるのは億劫なものだが、この時期にしか見ることのできないお祭りがある。それは田植えのお祭りだ。

稲作の国日本では昔から、田植えは農作業であると同時に田んぼの神様に豊作を祈願する行事でもあった。様式は違えど、田植えに関する祭りは全国各地で行われていて、今回訪れた住吉大社の御田植神事はその中でもひときわ華やかで盛大なものだ。

梅雨の最中の6月14日、幸運にも、この日の大阪は朝から晴天。神社の敷地内にある広さ20アールほどの御田はすでに水が張られ、梅雨の晴れ間の青空を映して光っている。

午後1時、本殿前にて神事に参加する人達全員がお祓いを受け、その後みんなで、行列をつくり御田のまわりを練り歩く。田植えをする替植女(かえうえめ)、神楽を舞う八乙女(やおとめ)、武者行列、踊りの子どもたちなど、総勢300人位はいるだろうか。

 

Matsuri 2

 

中でもひときわ目を引くのが、萌黄色の装束と花笠を身につけた植女(うえめ)と呼ばれる女性たち。神職より早苗を授かり御田まで運ぶのが彼女たちの役目だ。昔は堺の遊女がこの役を奉仕していたそうで、明治に入ってからは新町の芸姑さんが、そして現在は日本舞踊の踊り手の方々が引き継いでいる。どうりで立ち居振る舞いがしなやかで美しい。しばし見とれる。

そんな行列の華やかさと艶やかさに興奮したのか、なんと御田で代掻きをしていた牛が突然暴れだし、綱を引いていた人を泥の中に引きずり倒すというハプニングが。さらに倒れた人に角を向け、今にも突き上げんばかりの勢い。止めに入った人も倒され一時会場は騒然となったが、幸い大事にはいたらずひと安心。神様のおかげに違いない。

そしていよいよ御田植え開始。御田の北側からは赤い襷をしめた替植女の女性たち、南側からは黄色い襷をしめた御田講の男性たちが苗を植えていく。御田の中央に設けられた舞台では雅楽の演奏と唄にあわせ8人の巫女さんたちが神楽を舞っている。素朴だがゆったりとした優雅な舞いだ。

次に雅楽がいきなり三味線の音に変わり、昭和27年に創作されたという新しい舞が御稔女(みとしめ)によって披露される。装束は平安時代だが、雰囲気は花街のお座敷風でおもしろい。田植えには欠かせない雨乞いの舞いだそうだ。

 

Matsuri 3

 

その後、勇壮な風流武者行事、棒打合戦、田植踊りなどが演じられ、最後は小さな女の子が団扇を打ちながら飛び跳ねるように踊る住吉踊り。教導師(きょうどうし)と呼ばれる大人の男性が大きな傘の柄を叩いて拍子をとりながら「エ〜 住吉さまの イヤホエ」と歌う独特な節まわしが、一度聞いたらなかなか耳からはなれない。この踊りが終わる頃には、御田一面鮮やかな早苗の緑色におおわれ、神事は無事終了。

田植えをしながら歌ったり踊ったりするのは、苗に宿る穀物のパワーを増すためだとか。これだけ盛大にやれば、きっと立派に育つだろう。

稲は無農薬の合鴨農法で育てられるため7月には近くの幼稚園児たちによる「鴨入れ」の行事が予定されているそうだ。これもおもしろそう。

【御田植神事】
毎年6月14日に穀物の豊かな実りを祈願する儀式で日本三大御田植祭の一つ。3世紀に神功皇后が田んぼを設け、御田を作らせたのが始まりといわれている。当時と同じ格式を守り、華やかで盛大な祭りとして知られ、田植えをしながら音楽を奏で、歌い、舞を踊ることで苗に宿る穀物の力を増やすとされている。住吉大社では秋に収穫された稲穂を神に捧げる「宝之市神事」や、1年の穀物豊穣のお礼をする「新嘗祭(植使)」などが行われている。

【住吉大社へのアクセス】
●電車を利用
・南海鉄道
 東海本線「住吉大社駅」から徒歩3分
 南海高野線「住吉東駅」から徒歩5分
・阪堺電気軌道
 阪境線「住吉鳥居前駅」から徒歩すぐ
(路面電車)阪堺線「住吉公園駅」から徒歩2分

住吉大社HP
http://www.sumiyoshitaisha.net/

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