お祭り列島見て歩き Vol.3 – 強くて可笑しい日光責め 輪王寺の強飯式(ごうはんしき)

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笑いとどよめき、大迫力の儀式

大きなお椀に盛られたご飯を、「一粒残さず平らげろ!」と強要する奇妙なお祭りがある。毎年4月2日、日光山輪王寺で行われる「強飯式」だ。大飯食らいのボクなどは、つい楽しそうなお祭りを想像してしまうのだが、実は日光山に古くから伝わる修験道の流れを汲む儀式の一つなのだそうだ。

式は午前11時と午後2時の二回、輪王寺本堂の三仏堂で行われる。法螺貝を吹き鳴らす山伏を先頭に僧侶、強飯僧、そしてこの日強飯を受ける頂戴人たちの行列がお堂に入ると、重い木の扉がギーっと音を立てて閉じられる。蝋燭のわずかな灯りだけとなった堂内は春先とはいえ、ひんやりとして肌寒い。荘厳な雰囲気のなか執り行われる読経と護摩供養。護摩の炎がゆらゆらと揺れ本尊の阿弥陀如来を照らし出している。なんとも神秘的な光景。それが終わると照明が灯り雰囲気は一変。裃姿の頂戴人達が登場し、いよいよ式の目玉「強飯頂戴の儀」の始まりだ。

まずは山伏姿の強飯僧が大きな杯を持って現れ「しかと飲みほせ」と頂戴人に向かってかなり強引に御神酒をすすめる。酒を注ぐ動作がこれでもかというほど大袈裟で見物人から思わず笑いがもれる。続いて大きな黒いお椀に高々と盛られたご飯が登場し、笑いがどよめきに。通称三升飯。三升は一合の三十倍。これを頂戴人の顔の前に突き出し「三社権現より賜りたるところのお供えじゃ。うやうやしく頂戴あれ!」と迫る。さらには「頭が高い!」と怒鳴り、思わず畳に額をこすりつけるようにひれ伏す頂戴人のその後頭部に、な、な、なんと三升飯を乗っけてしまったではないか。再びおこる笑い声。やっぱり楽しいお祭りだ。身動きがとれなくなった頂戴人に追いうちをかけるように「一杯二杯に非ず七十五杯、ずかずかと取り上げてのめそう」。ヒエ~、七十五杯って。

 

 

次に運ばれてくるのは日光山の名物珍味が盛られた菜膳だ。山椒に唐辛子に大根などなど。辛い物責めなのか?

これだけ責められいたぶられ、どんなご利益があるのかというと、この儀式を受けた頂戴人、講中及び堂内に参列した者(えっ、ボクも?)は七難即滅、七幅即生、すべての難を逃れすべての福を授かり更には家運長久が成就されるとか。ありがたい。最後に、稲で作った兜を頂戴人の頭にかぶせ「強飯頂戴の儀」は大団円。

 

 

この後、頂戴人たちはお堂の外に出て、授かった福を独り占めせず皆に分け与えるという「縁起がらまき」を行う。これは余興じゃなくて「強飯式」を締めくくる大事な儀式だ。信徒の人たちが奉納した品々を、さっきまで責める側と責められる側だった強飯僧と頂戴人が一緒になって参拝者にばら撒く姿が微笑ましい。

ボクも少しでも福にあやかろうと前方のいい場所をキープしていたのだが、こういう場所での女性のパワーというのは想像を絶するものがあり、買ったばかりのカメラが危険と判断して後退。

福は授かるだけでなく時には奪い取ることも必要なのだろうか。そんなことを考えながら、唯一手にした福(駄菓子の詰め合わせ)を近くにいた外国人の子供にあげて帰路についた。

 

日光山輪王寺・強飯式
勝道上人の開山以来、平安朝から始められた日光山古儀のひとつ。「飯を強いる儀式」として、毎年4月に輪王寺で行われている。開運の三天(大黒天、弁財天、毘沙門天)と三社権現から御供を戴き、列した人々は厄除けや家運繁栄を祈願する。

輪王寺ホームページ
http://www.rinnoji.or.jp/

日光観光協会ホームページ
http://www.nikko-jp.org/

 

輪王寺へのアクセス
●電車を利用
浅草駅から東武日光線特急スペーシアで東武日光駅下車。もしくは東北新幹線を利用し宇都宮駅で日光線に乗り換えJR日光駅下車。日光駅から東武バス「世界遺産めぐり」に乗り山内まで約10分。
●クルマを利用
「東北自動車道路」宇都宮I.C.から「日光宇都宮道路」に進み、日光I.C.出口から国道119号で約2.5km。

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