名医が語る長寿の時代 [第1回]東京慈恵会医科大学泌尿器科 頴川 晋 教授

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激増する前立腺がんの最前線

 

 

前立腺がんの仕組みは少しずつ解明されてきたが、
罹らない方法は見いだせていない

前立腺は男性特有の臓器。この前立腺のがん患者がこの20年間で急増した。しかもこれからの高齢化社会に向かい、さらなる増加が予想されるという。東京慈恵会医科大学泌尿器科学主任教授の頴川晋氏は、アジア泌尿器科学会の学術委員長も務める前立腺がんの権威。その最前線について話を伺った。

 「前立腺にがんができても、早期だと自覚症状がありません。尿道を圧迫して症状が出るというのはすでに進行している状態です。一方、以前は歳をとると尿が出ないのが当然と思われていました。40歳以上の3割以上が前立腺肥大症に罹るからです。尿道は前立腺の真ん中を通っているため、前立腺が肥大すると尿道が圧迫されて排尿の勢いがなくなるんですね。なのでお隣のお爺さんもそうだったと、気にしませんでした」

 頴川教授の専門である前立腺がん。増えだしたのはこの20年のことで、統計では1970年代に年間1000人程度だった死亡者数が、2010年には1万1000人に迫っている。これからの高齢化に伴い、罹患者が確実に増えると目されるやっかいな病気だ。

 では、前立腺がんが発見された場合、どのような処置を目指すのだろうか?

「がんが前立腺内で留まっているのなら、その周辺までの根治。転移をしている場合は持久戦に持ち込みますが、骨にまで転移しているとそれも難しい。その場合、5年生存率は2割程度でしたが、今では改善されて、そこからさらに2年の延長があります」

 頴川教授に「根治」の意味を聞くと“100歳まで生きる”を確保することだとのこと。

「手術が終わったら、はいさようなら、ではありません。患者さんとは一生のお付き合いになりますから。次の一手は何か、を計画します。治療自体がオーダーメイドなんですね。昔は手術は手術だけ、放射線は放射線だけで対処していましたが、今ではホルモン療法や抗がん剤まで含めてコーディネートします」

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