ニッポンを話そう – 日本在住外国人による鼎談 – 日本料理が世界に受け入れられた理由は?

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日本料理が世界に受け入れられた理由は?

 

世界中で注目される日本料理。海外では「すしバー」が普及し、いよいよ食卓にも日本料理があがり始めているとのこと。魚や大豆などをメインにしているのでアンチエイジング効果があると、日本料理は様々なメディアで喧伝されています。果たして日本料理は本当に外国人のライフスタイルに影響を与えているのでしょうか。日本料理の魅力について、日本在住の3名に語ってもらいました。

 

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JQR : 日本料理は世界で人気を得ているようですね。寿司に限らず、家庭でも日本のレシピを取り入れ始めていると聞きます。皆さんの食生活は、日本に住み始めてから変わりましたか?

Seb : 日本料理は世界中で人気ですよ。私はドイツ、イタリア、フランス、アメリカ、カナダと、多くの国に住んできました。それぞれの国の料理を食べてきましたが、日本料理は特別なもの、と思っています。盛り付けも美しいし、何より低カロリー。どこのコンビニでも、美味しい食べ物がいつでも簡単に手に入るってことは、他の国ではあり得ないことです。

Oleg : イスラエルでも15年ほど前から寿司レストランが普通に見られるようになったね。

Steve : 米国ではインスタントラーメンを食べて育った(笑)。なので、自然にお寿司を食べるようになったんだ。でも、日本で食べる寿司とアメリカのそれはまるで別物だね。

全員 : そうだね。全く違う!

Seb : 日本料理はそれまでの食生活に大きな影響を与えたんだ。肉を中心にヘビーな食事をしてきたけれど、今では量が減り、肉以外にご飯や魚を食べるようになった。簡単に手に入れられる新鮮な食材を食べることで、体が軽く感じるようになったし、それでいてパワーが増しているようにも感じる。

Oleg : 僕は料理を全く作れないので、食事はいつも外食。それが日本に住んでから逆になった。スーパーで生の魚を買って、台所で4分焼けば美味しい食事が出来上がるんだもの。なので、最近はなるべく自炊するように頑張っているんだ。

Seb : 材料もすぐ手に入るし、簡単に美味しい料理が作れるからね。

Oleg : 日本料理なのか日本の生活なのか、どちらか分からないんだけど、利便性が気に入ってることは確か。最近はよくキッチンに立つし、今までこんなにご飯を食をべたことは無かった。日本に住んでから一番大きな変化は、自分の料理で生きていける、ってことが分かったことかな。

Steve : 米国ではいつもファストフードで食事を済ませていた。安くて、手に入れられやすくて、どこに行ってもあるから。しかも量が多い。5年前に日本に来た当時、アメリカで32オンス(1L)あるソーダは、残念ながら置いてなかった。日本の食生活は欧米化しているけど、自分は逆で、大きなサイズから小さなサイズへ変わった。

Seb : カナダのレストランは巨大なお皿で料理が出てくる。日本では小さな皿だ。最初は納得できなかったけど、それに慣れてくると、いつも沢山食べなくてもいいんだと気付くし、食事の量を減らすと、いつもの疲れやだるさも消えて気持ちが良いんだ。

Steve : アメリカの料理には塩分と糖分がとても多く含まれているけど、日本では、塩分や調味料をそんなに使わないよね。例えばアメリカでサラダを作ると、ドレッシングを野菜が見えなくなるほど掛けてしまう。日本では野菜に醤油を少しつけるだけ。魚の中にスタッフィングせずに、素材をそのまま味わうよね。

JQR : 日本料理を毎日食べますか?

全員 : はい!

Seb : 毎日食べています。時々ステーキに手を伸ばすけれど、それは段々少なくなって来た。ステーキを食べると、その時は美味しいと思っても、数時間後にだるく感じる。気分にまで影響するんだ。

Steve : 僕もステーキを選ぶことは珍しくなった。

Seb : 料理の材料のバランスと組み合わせは大事なこと。日本人はその点で秘密の鍵を持っていると思う。そして食べ物のプレゼンテーションのし方。いつも少量で美しく出してくる。こういう風に料理を出されると、食べること事態が楽しくなるしポジティブになる。ペースもゆっくりになり、見た目と味わいを楽しむことができる。長期的には、自分の体にインパクトがあると思う。

Steve : その通り。懐石料理の場合、料理が一皿ずつゆっくり出てくるし、最後にメインが登場することを知っていても、残りが3品、4品になる頃にはもう満足。アメリカなら、パスタ大盛りとハンバーグを同時に出されて、味わう間もなく早食いすることは普通のことだ。

Seb : そうだね。北米での食事はとても早く、あっという間に「もう食べた!」って感じ。日本では食事をしながら会話を楽しむなど交流がある。そうした食事を1回経験すると、とても楽しくはまっちゃうね。

Oleg : 料理の見た目はもちろん美しいけど、大きなポイントではないと思う。一番は味だ。日本では全ての食べ物が美味しい。例えば吉野家の牛丼。他の国でのファストフードに比べてもとても美味しいし、しかもとても安い。いつでもどこでも美味しい食事が出来ること
が最高だね。

JQR : 海外で知られてなくて、是非紹介したい食べ物は何ですか?

Oleg : 「納豆」。「納豆」は大好き。健康食だから、海外の人にも受けると思う。「納豆」は日本に来て初めて知ったんだ。

Seb : 「納豆」を好きになるまでに数年掛かったけれど、今では週に2、3回は食べている。フレッシュの黒胡椒をかけて食べるんだけど、そうすると周りの日本人は驚くね。でも、美味しくてお勧め! しかし、実際に海外で知られている日本料理は数少ないね。

Steve : 海外にもっと知って欲しいのは「蕎麦」だね。ホールグレインで作られているので健康的。口当たりも軽くて大好き。ニューヨークで蕎麦屋を探しても、まず見つからない。生と乾いた「蕎麦」は全然違うからね。パスタと同じだ。それは日本でしか味わえないよね。米国に帰国したら、こういう食感を楽しめなくなるのは悲しい。

Seb : バーベキューが大好きなカナダのケベック州やアメリカで「焼き肉」を紹介したいな。もしくは「しゃぶしゃぶ」。

Steve : 外国人は「しゃぶしゃぶ」の塩味が物足りないと感じると思う。彼らは「しゃぶしゃぶ」の本当の意味を分からないだろうね。お肉や野菜を少しずつ入れることで出来上がる出汁に、最後に麺やライスを加え味わう。塩や調味料を最初から入れる外国人は珍しくないけど、それは料理の流れというものを無視したもので、勿体ないことだ。

Oleg : 僕は海外で「おでん」を見たことが無い。中国で見掛けたけど、違うものだった。冬の季節に食べたい美味しい料理だ。輸出出来る一品だと思う。

JQR : 外国人にお勧め出来ない食べ物とは?

Seb : お勧め出来ないものは無いと思う・・・・・・けど、強いて言えば「とろろ」かな。

Steve : 日本料理は素晴らしいけど、体験する順番に間違いがあってはダメ。例えば、いきなり納豆を出したら「日本の食べ物は全部こんな味? もう二度と日本料理を食べたくないね」なんて言われるかも。味に慣れる順番は大切だ。

Seb : 日本の食べ物の品質はとてもいいので、初めて来日した人でもきっと満足すると思う。

Oleg : 見た目は変わっていても食べると美味しいから、安心していい。

JQR : 帰国して、一番寂しく思う料理は何ですか?

Seb : 日本料理の全てが恋しくなる。

Steve : おいしさの品質と食べるという体験だね。

Oleg : そして、気軽に食事が出来ることかな。

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Steve Kim(スティーブ・キム)
韓国系アメリカ人、43歳、大手銀行勤務、在日5年
Oleg Levy(オレグ・レヴィ)
ロシア系イスラエル人、33歳、IT専門家、在日1年
Sébastien Pilotte(セバスティエン・ピロット)
フランス系カナダ人、40歳、トップモデル、在日4年

撮影/内藤サトル

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