地球にやさしいミニマムパッケージを目指して – 進化する未来型エコ梱包

Decrease Font Size Increase Font Size Text Size Print This Page
Takumi 1
40枚のハードディスクドライバを収納するパッケージ例。写真上は従来のもの。写真下はダウンサイジングに成功した現在のパッケージ。ともに同量のHDDを収容できる。

 

時代は一気にエコ生活へシフトしている。埼玉県入間市に本社を構えるカネパッケージは、パッケージ業界にあって、「エコ梱包」をいち早く追求してきた企業である。

基本事業は製品のパッケージを提案し、設計し、製造し、梱包するトータルパッケージ。通常、梱包にかかわる業務は、段ボールメーカー、緩衝材メーカーなど、複数の会社との取引が必要だ。しかし、それらすべての専門業務を1社で一本化し、きめ細やかなパッケージングを実現させたのがカネパッケージの強みだ。さらに魅力的なのは、梱包資材の軽量化・コンパクト化によってCO2排出量を大幅に削減させられる点である。

 

Takumi 2

衝撃値を下げることに成功した大きな要素は、パッケージの表面にある。波上に成型されたサイド面が、一部斜めに切り落とされている。こ の形状によって、外からかかった力が分散される仕組み。

 

いま求められる梱包とは

カネパッケージが目指す梱包は、①ダウンサイジング ②省資源 ③軽量化 ④再利用。この4点に集約される。

「輸送効率を上げるため、物流梱包技術にも取り組みました」と語るのはカネパッケージ社長・金坂良一さん。安全に運ぶだけでいいなら、箱を大きくして緩衝材をたくさん入れればすむことだが、当然輸送効率は悪くなる。「私たちはもともと段ボールや緩衝材を扱っていた会社ですから、それを減らしたりなくしたりする方向に転換するのは、自分の首を絞めるようなものです。でも、それに代わるものを開発すれば、ダウンサイジング・省資源の両方がかなうわけです」と笑顔で話す。

ひとくちに「エコ梱包」といっても、その形態は様々だ。100の製品があれば、100通りの梱包方法がある。そしてそれぞれの流通経路も異なる。空路で運ぶ製品もあれば、船で長旅をする製品もある。エコを求めつつ、それぞれの物流環境に耐えうる梱包を実現しなければならない。前例がない企画開発だったが、総合梱包材メーカーの強みを活かし、次々にあっと驚くものを生み出してきた。たとえばハードディスク用の緩衝材は、HDDを入れるために使用していたクッションそのものの緩衝機能を高めることで、収納枚数はそのままで50%ものサイズダウンを実現。40%のCO2削減に成功したのである。この緩衝材によって同じ空間への搭載量は2倍になった。ということは、流通コストが下がるという訳で、取引先企業にとっては、大きなコストカットになったのである。

軽量化とダウンサイジングを成し得たこの緩衝材には、素材の工夫のほか表面加工にも秘密がある。改良前の緩衝材の表面には、箱を落とした際の衝撃を緩和する深さ数cmの凹凸がある。改良後の緩衝材を見ると、この凹凸は1cm未満。これで衝撃を受けたとき内容物を守れるのかと不安になるが、「そこが落とし穴なんですよ」と金坂さん。「強い素材を開発したら間仕切りの間隔を狭められた。凹凸も数cm必要だろうと思い込んでいただけで、ほら、壁面を斜めにカットしてみたら1cm厚でも強くなった。衝撃がくる時間を遅らせて、衝撃値を下げているんですよ」

社内には、落下試験機や破裂度試験機などの各種試験機がある。たとえば赤道を通過する船のコンテナ内は湿度も気温も異様に高くなる。そんな状況下におかれる製品を梱包する場合には、接着の不具合や紙の膨張までを考慮したパッケージをデザインしなければならず、またその設計で不備のないことを証明しなければならない。運搬途中で荷物がトラックから落下しても梱包会社の責任ではないが、それを見越した設計をするのは梱包会社なのである。

「製品を作るところまではメーカーの仕事ですが、最後の仕上げは梱包屋の仕事。製品の素材や重心の位置で、梱包の仕方も異なります。にもかかわらず、梱包材の開発時間はとても短く、しかも完璧を求められるんです(笑)」(金坂社長)

 

Takumi 3 Takumi 4
段ボール緩衝材の例。無駄なスペースを出さずに商品を納められるよう設計されている。1枚の段ボールをいかに細工すれば、保護力が高ま り、コンパクトになるかが設計師の腕の見せ所。 サンプルカッターで、デザインデータ通りに段ボールを断裁していく様子。試作を自社内で行なえるのが強みのひとつだ。

 

緩衝材自体が箱になった「ボックスレス梱包材」

カネパッケージの発泡樹脂緩衝材の技術を極めたものが「ボックスレス梱包材」だ。緩衝材そのものが箱なので、外装箱が不要なのである。これまでは段ボールなどの外装箱、EPP緩衝材、さらに個装の真空トレーなどが必要だったが、ボックスレス梱包材ならオールインワン。単価を約15%削減し、劇的に軽くなったために輸送時のCO2排出量を約70%削減させた。ユニークなのはその機能だ。箱の表面に細工が施してあり、パズルのように縦横に連結することができる。すると、1つの塊になるため荷崩れを起こしにくく、強度が高まるためパレットごと落下しても中身が壊れない。さらには、盗難防止にもなるという。港や空港付近に積み重ねられた出荷用新製品の盗難被害は意外と多いのだそうだ。

このような発泡樹脂の緩衝材は石油から作られるので、資源に限りがある。そこで、今後はリサイクル可能な段ボール緩衝材に力を入れるという。1枚の段ボールシートをくるくると組み上げてクッションの役割を持たせた段ボール緩衝材は、近未来の主力になるであろう。

 

各種試験機で製品をチェック
Takumi 5 Takumi 6
落下試験設備では、高さや向きなどを変えての落下テストを行なう。箱の一角をわざとつぶして落下させ、商品自体にダメージがないことを何度も確認し、製品の信頼性・実用性を検証している。 振動試験機。輸送時に発生するであろう振動を想定し、製品のずれ・傾き、破損や印刷面の摩擦等の検証をする。ほかにもさまざまな試験機がある。

 

最近開発した製品例
Takumi 7 Takumi 8
携帯電話を修理工場へ送るためのパッケージ。二つ折りにしたプチプチ(エアーキャップ)にはソフトな接着効果があり、携帯電話がピタッと貼り付いた状態で動かない。 ガイガーカウンターのパッケージ。蓋の内側には特殊なフィルムが張られており、蓋を閉めたときにフィルムが商品をやさしく固定する仕組み。
この記事の感想
  • とてもおもしろく役に立った (0)
  • おもしろかった (0)
  • 役に立った (0)
  • つまらなかった (0)

Pages: 1 2