ロングセラー商品「ホテイのやきとり」缶詰工場見学! – 愛され続ける、昭和のやきとり屋の味

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長期保存できる、味の付いたおかず缶=調味缶は、いま防災備蓄品としても注目されている。なかでもおいしい缶詰が充実している日本において、40年以上も愛され続けている商品がある。ホテイのやきとりシリーズだ。製造元のホテイフーズを訪ねた。

『やきとりたれ味』が世に出たのは1970年(昭和45年)。それまでミカンやツナ缶を製造して欧米に輸出していた同社による、国内向け限定商品の第1号である。以後42年間、看板商品として日本中の誰もが知る缶詰となった。

「やきとり屋さんの味とイメージそのままを家庭の食卓に、がコンセプトです」と山本達也社長は話す。当時、仕事帰りの父親が外で一杯飲むときのつまみといえば、やきとりだった。同社はその“ちょっと贅沢なつまみ”を、家族みんなで食べられるように、と開発を手掛けたという。

その目論見は大当たり。やきとり缶詰自体が珍しかったことと、発売翌年から放映されたテレビCMの影響も相まって、発売直後から大ヒットとなった。

もちろん、そこに至るまでの道のりは険しかった。同社がこだわるのは、「やきとり屋の味」。炭火でなければ香りがつかない。しかし、炭火で大量の鶏肉を焼くと大量の煙が出るため、日々、煙と戦った。また、炭火は火加減・焼き加減が難しい。焦げなければ香ばしくならず、焦げ過ぎるとまずくなる。放っておけば火力が弱まる。やきとり屋さながらの味を再現するためには、熟練の火番が必要だった。今でも炭火を管理する職人は欠かせない存在だ。

炭火のほかにもうひとつ、「ホテイは旨い」と言われる所以がある。それは、国産鶏肉にこだわり続けてきたことだ。ブロイラーではなく、成長した親鶏を使うことで、しっかりとした食感を残している。

JQR編集部が訪ねた蒲原工場では、その日『やきとり塩味70g』を製造していた。個食化が進み、内容量は時代を追って少量化しているそうだ。工場内には、意外と人手が多いことに気づく。工業製品とは違い、そもそも素材の形が統一されていないものを最終的に均一化してパッケージングするためには、やはり人の手が必要だ。缶詰を開けたとき、皮ばかりの商品がないのは、こうした人の目があるからだ。

おいしい缶詰を選ぶコツ

また、工場長の杉本守さんいわく、一般的に缶詰は、生産後数か月後くらいのものが味がいいそうだ。それは、味付けをしてから高熱で殺菌をし、時間が経って初めて、具材に味がしみ込み、おいしく感じるように作られているためである。

近年は、やきとり缶を使った調理法も広がってきている。すでに調理済みの鶏肉を使うので、他の素材と混ぜたり、一緒に炒めたり煮たりするだけででき、面倒な調味をせずに済むのが利点だ。たとえば柚子こしょう味は、茹でたパスタに混ぜるだけでもおいしい。ガーリックペッパー味は、ピザのトッピングにしたり、丼にしてもいい。たくさんのアイデアレシピがホームページ上に紹介されているので、やきとり缶料理を友人や家族と楽しんでみてはどうだろう。

災害時に役立つやきとり缶

その他、意外な利用法が注目されている。それは、保存食としての缶詰の存在だ。ホテイのやきとり缶は、常温で長期保存が可能、缶切りがなくても開けられるプルトップ方式。鶏肉だけに、食べたときの脂のざらつき感がない。さらには牛や豚と違い、体温で溶けるため、タンパク質や脂質が体内に吸収されやすい。乾パンや水、飴やチョコレートなどの糖質は備蓄している家庭も多いが、災害が長期化した場合に貴重なタンパク質を摂取しようと思ったら、やきとり缶の存在はとても有効だ。時代を経てなお、存在意義を見直させられる。

 

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皮を下にして上―下の順で焼くことで、肉汁=旨味を逃さずに閉じ込められる。

 

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♪やきとりな〜ら〜、ホ・テ・イ。やきやき〜♪でおなじみのテレビCMは昭和46年放映と同時に、たちまちヒットCMに。温かみ溢れるキャラクターたちと「やきとり」の文字は、漫画家の故・おおば比呂司氏が描いた。

 

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2012年4月現在発売されているホテイのやきとりシリーズ。たれ味(白)、たれ味辛口(赤)、塩味(青)、ガーリックペッパー味(黒)、柚子こしょう味(緑)。ロング缶(7号缶)の「やきとりたれ味」はオリジナルの味を忠実に再現しており、工場長のイ
チ押し商品だ。

 

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代表取締役社長・山本達也(やまもとたつや)さん。1933年(昭和8年)から続く先代の味を守るかたわら、世界を視野に入れ、次世代の食文化について熱く語る。

 

株式会社ホテイフーズ コーポレーション
静岡県静岡市清水区蒲原4-26-6
TEL:054-385-3131(代)
www.hoteifoods.co.jp

撮影/内藤サトル 取材・文/大津恭子

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