檜風呂:伝統的な木風呂が叶える 湯浴みの悦楽

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ヨシダヤ商店
代々引き継がれた技は、長い年月を経て完成の域に

Photography /Tomoya Takai Interview and text/JQR

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最新作の卵形木風呂。カーブがタイトな面を背にすると、豊かな湯の醍醐味が味わえる。カーブが緩い一面にもたれかかると、繭にくるまれたような居心地の良さが感じられる

木風呂(木製浴槽)の製造は日本人の得意とするところだが、これは世界的にも広く知られていること。木風呂のもつ美しさ、温もり、柔らかな肌ざわりなどは、他の素材に並ぶものがなく、最高級の浴槽は昔から木風呂というのが定説だ。一般には木製浴槽を指して「檜風呂」と呼んでいるが、古くから木風呂に使われてきたのは高野槙(コウヤマキ)である。この木風呂製作を代々手掛けてきたのがヨシダヤ商店である。ひとつひとつ手作業で丹念に仕上げる木風呂は美しく、温もりのある芸術品だ。

木風呂のことを「檜風呂」と呼ぶのはなぜか?

ヨシダヤ商店社長の吉田厚一が説明する。「最高級の木風呂は『紅檜』で作られることから、呼称されるようになりました。この木は台湾の高地に自生する古代檜で樹齢千~三千年。樹高25m、直径3~4mにまで成長します」

トールキンが『指輪物語』で「エント」の伐採を禁じたように、紅檜の伐採も30年前に禁止された。故に現在では入手困難な稀少材である。しかし1934年に京都で木材販売店を始めていた吉田の父は、伐採禁止となる前にかなりの在庫を積んでいたという。1987年(昭和62年)、吉田は古代檜の販売代理店として、古代檜の浴槽の販売を始めた。「現在日本で古代檜(台湾紅檜)を取り扱っているのは当店だけです。木風呂の製造まで手掛けているのは珍しいでしょうね」

台湾紅檜は浴槽に最適な材質だ。狂いが少なく、精油を含んでいるので自然の抗菌作用がある。そのため温かく湿った場所が好きな微生物、細菌、カビ、ウイルスなどを寄せ付けない。そして、豊かな芳香も楽しめる。最高級の木風呂というのも頷ける。

JQR_18号_1228校了_J_0719-113ヨシダヤ商店社長の吉田厚一。父が興した木材販売店を1987年に古代檜(紅檜)浴槽の製造・販売元として継いでいる。
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