Miraculous Oyster

Japon Undercover - vol.2

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かつてこんなに芳醇な牡蠣を口にした事があろうか。野趣溢れる風味が舌を捉えて離さない。

私が訪れたのは、宮城県気仙沼市にある唐桑町西舞根(からくわちょうにしもうね)だ。目的は、東日本大震災で大打撃を受けたこの町の水産業の復興に取り組んでいるNPO、ピース・ネイチャー・ラボの人たちの話を聞くためだ。

気仙沼は、大正時代から牡蠣やホタテの養殖が盛んだった。かの地は被災直後、あのルイ・ヴィトンが、牡蠣養殖業を営む畠山重篤氏が代表を務める「牡蠣の森を慕う会」と「特定非営利法人 森は海の恋人」を支援したことで一躍有名になった。

およそ50 年前、フランス、ブルターニュの牡蠣が病気で甚大な被害に遭った時、宮城県の種牡蠣がフランスに送られた歴史があり、その恩返しというわけだ。

「森は海の恋人」は、豊かな海の恵みは豊かな森が支えている、との考えの下に、おいしい牡蠣を育てるため、気仙沼湾にそそぐ大川上流の室根山で植樹を続けている。

ピース・ネイチャー・ラボは、唐桑町の美しい湾で育った牡蠣やホタテを加工し全国に販売して雇用を生み出そうとしている。牡蠣の燻製やオリーブオイル漬け、フライにホタテのパテなどの試作品は、どれも素晴らしく濃厚な味で、その瞬間、私は間違いなく競争力があると確信した。

総括責任者の吉永栄一氏によると、食材加工の工房を12 月に完成させ、年明けから商品製造・販売に乗り出すとのこと。将来は直営店をオープンさせる計画だ。興味深いのは、子供たちを対象とした「体験ツアー」を企画していることだ。子供たちに、森や川や海を探検させ、人は豊かな生態系の中に活かされている事を学んでもらい、絵本を作ってもらおうというのだ。彼らはきっと自然を大切にする大人に育ってくれるだろう。

こうしたピース・ネイチャー・ラボの活動を応援する人の輪は着実に広がっている。地元の金融関係者や設計士、弁護士らが中心となって、西舞根の地に、レストランを開く計画もある。

東京に戻り、私はピース・ネイチャー・ラボに、被災地の産品を販売するインターネット百貨店を展開する企業を紹介した。三陸の牡蠣が一日も早く全国に届くように……。

西舞根の奇跡の牡蠣を食べた人たちの笑顔から、復興の環が全国に、そして世界に広がると信じている。それって、なんて素晴らしい事なんだろう!

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