日本発のグローバルリーダーを育てるために!

Japan Undercover - vol.4

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 日本に全寮制インターナショナルスクールを作ろう!そんな突拍子もない事を考えたひとりの女性がいる。小林りん※1、その人だ。

 インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢※2とISAK※3がその学校の名前。ミッションは「、アジア太平洋地域そしてグローバル社会のために、新たなフロンティアを創り出し変革を起こせるリーダーを育てる」という壮大なものだ。

 小林は何故この学校を作ろうと思ったのか。それには彼女の高校時代の原体験に遡らねばならない。

 小林は教育方針に疑問を感じ、国立の名門高校の1年生の時に高校を中退してしまう。既に型破りな性格の片りんをうかがわせるエピソードだが、その後小林はカナダの全寮制インターナショナルスクールに留学。そこで世界中から集まってきている学生達と共に学び、多様な価値観を身につけて帰国する。卒業後は、東京大学で開発経済学を、アメリカのスタンフォード大学で国際教育政策学修士号を取得、大学院で教育学を学んだ後、06年から08年に国連児童基金(ユニセフ)でフィリピンの貧困層教育にかかわった。

 そこで貧富の差を目の当たりにし、世界の様々な問題を解決出来る、真のグローバルリーダーの育成の必要性を痛感したという。帰国後、彼女は日本に全寮制インターナショナルスクールの設立に動き出す。それはとてつもなく無謀で不可能な事に思われた。資金も無い、何のつても無い。たったひとりで一体何が出来るのか?しかし小林には実行力と人を引き付ける強烈な個性があった。リーマンショックもあり、資金集めは難航したが、多くの人が支援を申し出た。そして2011年、あの東日本大震災……。もう諦めようか……。そんな想いが小林の胸によぎった。

 しかし、これまで日本が培ってきた安全神話がもろくも崩れ去り、世界に向けた情報を発信できるリーダーが日本にいないことに気づいた人たちから、多くの寄付がISAKに届き始めた。しかも、震災後の方が寄付が多く集まっているという。小林は何と1人で10億円近いファンドレイジングを成し遂げたのだ。これまでサマースクールのみを開催してきたが、2014年にはいよいよ、高校生を対象にISAKは開校する。

 様々なバックグラウンドを持った学生たちが軽井沢の地に集まり、世界中の全寮制インターナショナルスクールなどから小林自らがリクルートしてきた多才な教師陣が指導する。小林の壮大な夢の第1歩が今まさに実現しようとしている。

 教育とは気の遠くなるような時間がかかる仕事である。ISAKから飛び立った若者たちが、世界にイノベーションを引き起こし、社会の課題を解決するようになるのはいつの事か。その日が来るのを待ちわびて、小林は今日も走り続ける。そして、その理念と情熱に呼び寄せられるように多くの人々が共に走り、同じゴールを目指す。

  グローバルリーダーに必要なものにカリスマ性を上げる人が多いが、小林は「突破力」だと言う。多様性を受け入れ、多くの人の共感を呼び起こし、そして、何があってもやり遂げる力。そうした能力を兼ね備えているのが真のグローバルリーダーである、と。

 それを聞いてふと思った。そのカリスマ性を持っているのは自分自身なんだと、彼女は気づいているのだろうか?

 

※小林りん投資銀行業務、ベンチャー企業経営などを経て、かねてからの目標であった国際協力の分野へ転身。国際協力銀行で円借款の実務を担当した後、国連児童基金ではフィリピン事務所のプログラムオフィサーとしてストリートチルドレンの非公式教育に携わる。経団連からの全額奨学金を受けカナダの全寮制インターナショナルスクールに留学した経験を持つ。1993年国際バカロレアディプロマ資格取得、1998年東大経済学部卒、2005年スタンフォード大教育学部修士課程修了。
※インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢は、各分野で次世代をリードしてゆける子ども達の育成を目指す、少人数制の全寮制インターナショナルスクールです。(対象:高校1〜3年生の男女)
※ISAKHP:http://isak.jp/

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