美酒礼賛 – ワイングラスで飲みたい日本酒 [vol.6] – 純愛仕込み 純米 寫樂

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心を動かす“純愛仕込み”の酒

「勢いがある若手蔵元」といって、最初に顔が浮かぶのは『宮泉銘醸』の宮森義弘氏だ。彼は常に時代を読み、新たな挑戦をし続け、酒徒に「うまい」と言わせる酒を醸す。媚びがなく、凛とした宮森氏の姿勢はどこか幕末の獅子を彷彿とさせるものがある。

勇ましい蔵元が造る酒は超辛口の男酒と思いきや、そうではない。『純愛仕込み純米寫樂』は、なめらかな舌触りと、白桃を思わせる甘酸っぱさが魅力のフルーティな味わいの酒だ。フルーティといっても、ただ甘いだけの酒ではない。フレッシュな印象を与える酸と、最後に遠慮がちに表れる辛さが絶妙なバランスを形成している。原材料の米に由来する乳酸系の香りは穏やか。グラスを重ねても飽きることがない。

肴は思い切って、薄くスライスしたりんごを合わせてみたい。ともに甘酸っぱさがあるもの同士。意外と思うかもしれないが、これがまた良く合う。この時、りんごに軽く塩をふるとなおさらいい。酒質の美しい酒には、フルーツもまた肴になることを舌で感じて欲しい。他にはいかときゅうりの三杯酢和え、鶏手羽肉のお酢煮込みなど、酢をきかせた料理を薦めたい。“酸”という共通点が、どちらのおいしさも高めてくれる。適温は10~12度。冷やし過ぎると固い味になってしまい、せっかくのなめらかさが半減してしまう。飲む少し前に冷蔵庫から出し、酒瓶にうっすらと水滴が出てくる頃が飲み頃だ。

そうそう、誤植と見間違いやすいのが酒瓶の首についたラベル。「純米」ではなく「純愛」が正解だ。これは宮森氏ならではの、小さいながらも大きなこだわり。酒造りへの愛、そして地元・福島への愛。その一滴には、様々な愛が込められている。そうした蔵人の心意気を、舌を通し感じて欲しい。

 

純愛仕込み 純米 寫樂
●アルコール度数:16度
●精米歩合:60%
●日本酒度:+ 0.5
●酸度:1.5
●米:夢の香(会津若松市湊町産 上馬渡夢農場)
●容量:1.8l
●価格:2310 円(税込)

 

宮泉銘醸
福島県会津若松市東栄町8-7
0242-27-0031
http://www.miyaizumi.co.jp/

 

●文/葉石かおり(きき酒師) 写真/長尾 迪

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