美酒礼賛 – ワイングラスで飲みたい日本酒 [vol.5] – 純米吟醸 鶴齢 五百万石

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越後酒のイメージを一新させる酒

「鶴齢」と出会った時の衝撃は今も忘れない。新潟の酒といえば淡麗辛口で、水のごとく流れるような飲み口のものが主流。だが「鶴齢」は違った。ふんだんな米の旨味と、上品な酸味が見事に溶け合い、流れるどころか、舌に強烈な印象を残す酒だったのだ。以来、「鶴齢」は我が家の食卓の常連となり、何かと顔をつきあわす存在となった。

数あるラインナップの中でも「純米吟醸鶴齢五百万石」は特に好きな酒だ。何より酸が美しい。“マスカットの女王”と呼ばれるアレキサンドリアを彷彿とさせる上品な酸味が味の核となり、米と甘味と旨味が脇を固めている。香りは非常に穏やかで、料理の味を決して邪魔しない。一言で言えば、美しくも凛とした表情を持つ酒。厳寒の雪国ならではの強さを持った女性という感じだ。

どんな料理とも合う懐の深さがあるが、試して欲しいのが牡蠣や魚卵。ほんのりとした甘味が独特のえぐみを包み込み、酸味が口中をリセットしてくれる。よく「生牡蠣にはシャブリ」というが、このマリアージュを知ると元に戻れない。「鶴齢」の底力を知る意味でも是非試して欲しい。魚卵といえば、「新潟加島屋」のいくらの醤油漬けが、これまた合うこと。少々濃い目の味付けが、次の盃を呼ぶ。そのままでもいいが、ホタテの刺身にちょいっと載せると甘味が加わり、絶妙なバランスに。口いっぱいに広がる贅沢を堪能していただきたい。

越後の酒のイメージを一新した「鶴齢」。これからも愛飲家の期待を裏切ることなく、今の時代にあった“ブレない酒”を世に放っていくことだろう。「維新の三傑」の一人、西郷隆盛似の青木社長が巻き起こす“日本酒界の革命”を今か今かと待ち望むファンは後を絶たない。

 

純米吟醸 鶴齢 五百万石
●アルコール度数:17~ 18度
●精米歩合:50%
●日本酒度:+2.0
●アミノ酸度:0. 8
●酸度:1.5
●米:五百万石(麹・掛米ともに)
●容量:720ml
●価格:1, 575 円(税込)

 

青木酒造
新潟県南魚沼市塩沢 1214
025-782-0023
http://www.kakurei.co.jp

 

●文/葉石かおり(きき酒師) 写真/長尾 迪

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