美酒礼賛 – ワイングラスで飲みたい日本酒 [vol.14] – 純米大吟醸 山花

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カジュアルに愉しめる純米大吟醸

“七号酵母誕生の蔵” として国内外に名前を轟かせる宮坂醸造は、1662 年より自然豊かな信州諏訪に蔵を構え、今年の4月に350 周年を迎えた。主要銘柄『真澄』に加え、流通限定酒『みやさか』を世に放つなど、ますます勢いを増している。名が知られているだけに、オートメーションな酒造りをしていると思われがちだが、それは全くの誤解。機械化は一部で、酒造りの要となる部分は熟練した蔵人達によって行われている。重ねてきた歴史にあぐらをかくことなく、伝統を重んじつつ、時代を読んだ酒造りは若い醸造家達に大きな影響を与えている。

紹介する『純米大吟醸 山花』はロングセラー商品で、女性の人気も高い蔵の自信作。「早春の八ヶ岳に咲く可憐な花をイメージした」というキャッチ通り、白い花を思わせる香りが穏やかに立つ。青リンゴや、乳酸系の香りもわずかにあるが、華やかすぎず、上品な感じがいい。軽い粘性があり、それが口当たりのまろやかさへとつながっている。ふくぶくしく、米の旨味も豊か。グラスを進めるごとに、優しい気持ちになってゆく。

味わいは甘味と酸味を中心に据えたイメージ。余韻が長く、フェードアウトするようゆっくりと切れあがる。その様は川にたゆたう友禅流しのよう。雅で美しい酒なのだ。

といっても気取って飲むのは似合わない。原材料にこだわった純米大吟醸なのに値ごろ。気の置けない仲間と、陽の高いうちからカジュアルに飲みたい酒だ。合わせる料理は、ごくシンプルなものがいい。この季節ならフルーツトマトと新玉ねぎのマリネ、焼き空豆、ホタルイカの酢味噌和えがおすすめだ。オイル系のパスタとも相性がいいので、ぜひとも試して欲しい。この酒はマリアージュを考えるのもまた、楽しみの一つ。日本酒が食中酒であることを再認識させてくれる。

山花 純米大吟醸
●アルコール度数:16度
●精米歩合:45%
●日本酒度:+1
●酸度:1.5前後
●米:兵庫県加東市山国地区産 山田錦100%
●容量:720ml(箱無)
●価格:2,415円(税込)

宮坂醸造
長野県諏訪市元町1-16
0266-52-6161

●文/葉石かおり(きき酒師) 写真/長尾 迪

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