美酒礼賛 – ワイングラスで飲みたい日本酒 [vol.10] – 愛乃澤 純米吟醸

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相澤晶子氏が杜氏として初めて醸し上げたこの純米吟醸が栃木県県知事賞を受賞。

 

女性杜氏の心意気が詰まった酒

女性が元気な時代である。

草食男子ならぬ観葉植物男子たる言葉も横行し、何かと守りに入る男性が増える中、相反するようパワーアップした女性は職業の枠を超え、あらゆる世界で活躍するようになった。その最たるものが、女性杜氏である。かつて日本酒の世界は女人禁制とされ、昭和に入ってからもその風潮が続いていた。昨今は珍しくなくなったとはいえ、男性社会であることは変わっていない。

相澤酒造の相澤晶子さんは、その数少ない女性杜氏の一人。短大卒業後、教授秘書や大学病院の医局秘書として働いていたが、父の急逝により、蔵元という家業を継ぐことになる。その後、杜氏の高齢化により、自らが杜氏となった。

『純米吟醸愛乃澤』は、そんな相澤さんの愛と心がこもった酒。彼女が杜氏として初めて醸し上げた思い出深い酒で、栃木県県知事賞も受賞している。

そう聞くと、ますます期待感が高まる。グラスに注ぐと、マンゴーを思わせる芳しい香りがふわっと立ち上る。女性ならではのたおやかなお酒かと思えばそうではなく、しっかりとした米の旨味が味の核となっている。

口に含むと、その旨味が氷のようにゆっくり溶けていくかのよう。甘酸っぱさがしばらく続いた後、軽めの辛味が現れ、余韻を残しながらゆっくりとしたスピードで切れてゆく。エレガントさもあり、芯のある凛々しい美しさを持つ酒だ。

こうした酒はフルーツを使った料理との相性がいい。今が旬の柿と春菊のサラダや、りんごのごまドレッシング和えは、甘酸っぱさを引き立ててくれる。キンキンに冷やした『純米吟醸愛乃澤』を、凍らせたぶどうに少々かけ、皮ごとチュルンといただくデザートもおすすめ。どんな料理にも合うが、エレガントさを損なわないよう、濃すぎる味付けのものは避けたい。

時間の流れを感じつつ、ゆっくりと語りながら飲のむが、この酒に対する礼儀のような気がする。

 

愛乃澤 純米吟醸
●アルコール度数:15~16度
●精米歩合:50%
●日本酒度:+2
●使用米:山田錦
●容量:720ml
●価格:1,665円(税込)

相澤酒造
栃木県佐野市堀米町3954-1
0283-22-0423

●文/葉石かおり(きき酒師) 写真/長尾 迪

 

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