3.11を抱きしめて – 東日本大震災・災害復旧ボランティアの現場から- [第5回]

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工場の再稼働は、現地経済及び雇用に希望を与えるに違いない

 

10月11日に石巻市の避難所は全て閉鎖された。

被災された皆さんが住む場所を見付けられたという意味では、嬉しい知らせである。地域の再建が新しい段階に進んでいることもポジティブに見られている。

しかし今まで被災者が避難所で直接的受けられたサービスやサポート、情報配信がすべて終了したため、これからは自分自身で生活を営んでいかなければならない、ということでもある。長年住んだ家に戻った家族はとても少ない。ワンルームを賃貸したり、親戚や友人と一緒に住み始めたり、壊れた家の2階に住むことを決断した人もいるが、大多数は当選した仮設住宅へ移住した。

小さな箱のような仮設住宅が、石巻市のあちらこちらに団地のように並んでいる。見知らぬ隣人に囲まれ、到来する冬の寒さを心配する住民。仮設住宅の雰囲気は、決して明るいとは言えない。場所によっては、自宅に戻り暮らすという願いが、行政の決断が先送りされているため叶わないという。働く場所も失われ、将来の不安はそれぞれの心に大きな負担となっているだろう。身内を亡くした喪失感が心を占め、孤独感が一層募っているに違いない。

当初のシンプルな課題をクリアするにつれ、解決しなければならない問題はより複雑になる。このような中で、ボランティア活動は地を這うように粛々と行われている。

私たちが続けている瓦礫とヘドロの片付けは、今までアクセス出来なかった山奥に場所を移している。あるボランティア団体は、仮設住宅内の生活をサポートする為に、より良いコミュニケーションやより明るい生活環境作りなどを積極的に進めている。私たちボランティアには、イベントの開催や引っ越しの手伝いなど、様々な依頼が舞い込んでいる。

その他、現地の企業の再建の支援活動も行っている。数社しか残っていない再建可能な水産加工場の機械の清掃などだ。数億円にもなる機械が再び動き出したら、そこに雇用が生まれる。現地の経済に希望の灯りが灯ることだろう。

また、行政が居住の許可を出した地域を訪れ、半分崩れた住宅のリフォームの手伝いを準備している。お金がかかる専門的な分野で、複雑なコーディネーションが必要だ。しかし、一日でも早く被災者が家に戻り通常の生活に復帰するためには不可欠な作業である。

避難所の閉鎖は嬉しいニュース。だが、忘れてならないのは、まだまだ多くの家族、子供、お年寄り、被災者の皆さんが、「仮設」な生活をしているということだ。

Christine Lavoie-Gagnon(クリスティーヌ・ラヴォワ=ガニョン)
ケベック出身。日本在住17年超。東京でPR会社を経営。現在は、被災者支援のために立ちあげた組織NADIAの活動のために石巻で過ごす時間が多い。

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