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追われて逃げ込む茨の道!?

志ら乃劇場 - 第五席

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Shirano

年内出版予定の二冊の本の執筆に追われている。「追われるというのがどういうことなのか」が骨身に沁みるほど追われている。気晴らしにちょっとコミケで頒布する新刊を作ろうと脇道に逸れたら、すぐに二冊の同人誌が出来上がったくらいの追われ度だ。

9月出版予定の本には対談が載る。談笑兄さん、そしてもう一人が師匠の志らくだ。立川流の濃い血を受け継いでいる両者との対談は私の発案でだが、去年の私では決断できなかったであろう思い切った企画だ。「 同じ一門なんだから、それくらい簡単だろ」と思うかもしれない。いるのか?

いるのなら出て来い!

と言えるほど簡単ではない。もし対談をしたがために「あいつ予想以上に大したことない奴だな」「その程度か……」と思われたら大変だ。

対談当日は、現在の私の思いをぶつけてみた。内容は本を読んで頂くとして、二人との対談を終えた私の感想は「立川流の落語家としての仕事ができた」だ。男としての仕事をした充実感に満ちていた。正直ここがスタートライン。全力で走ったって追いつかないレースに参加しているのであろうが、今まではそのスタートラインに立つ恐怖から逃げていたのであって、この一歩は大きい。

11月出版予定の本は完全書き下ろしの一冊。これが本当に辛い作業。ようやく「こうすればいいのかな?」くらいの感覚を掴んだ程度。しかしよくよく考えたら「落語ってこういう感じか?」とちょっと思えたのは今年だ。つまりは15 年目にしてようやくそう思えたのだ。同人誌ではない本の執筆は今回が初で、しかも二冊同時進行。茨の道は当然のことだが、「まぁどうにかなるでしょ」と軽く引き受けたあの時の私に近づき、耳元で「そうでもないよ」と言ってやりたい。まぁ聞く耳を持つような人間ではありませんが。「落語家になりたい」と本気で思えた今年の心境を書けるのはきっと今しかない。真打ち昇進直前に2冊の本を出せるという奇跡をもっと噛み締めてパソコンの前にしがみ付きたい。

本の話ばかりでは仕方がない。落語家として落語での具体的な活動を積極的に進めていかなければ。まずは独演会と一門会を客で一杯にする。そして、志らく一門以外の若手に私を刺激する人間が数人いることが判明したので、そいつらとの交流。もちろんそれと同時に先輩方へのアプローチ。落語家以外の人達との交流も積極的に増やす段取りを今やっている。先月もモーニング娘。9 期10 期、合計8 人と落語を介して対峙する。内容云々もそうだが、先方の事務所や主催の放送局との交渉事も私の脳みそを刺激する大事な要素だ。こうやって書いていてワクワクしてきた。人前に立ち、喋る行為に興奮を覚える。もしかしたら私は落語家に向いているのかもしれない。他の職業を経験したことはないが、これが天職なら幸いだ。それに比べて本の執筆の辛さ……。こうなったら気晴らしに落語でもやるか!

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