落語家の日常を

志ら乃劇場 - 第一席

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Shirano

このコラムを書くにあたってテーマは「落語家の日常を」というお願いであった。

しかし私の所属する立川流の志らく一門というところはいわゆる「落語家像」とは大きく違う落語家の集まりであると言っていいだろう。毎日師匠のお宅へ行き、家の掃除をして、一緒に朝飯を食って、そのまま寄席へ。夜は贔屓筋の人達と飲みに行く、というような生活をしていれば依頼通りの原稿が書けて良かったのであろうが、全く違う。そもそも落語家の肝でもあるいわゆる「寄席」には出演していない。立川流独自の寄席は開いているが、新宿末広亭や、上野鈴本というところには基本的に出ていない。いわゆる「寄席」とは何なのか、なぜ寄席へ出演しなくなったのかはネットか何かで調べてもうらうとして、とにかく出ていない。

つまりは業界内では異端児扱いをされている一門という認識をしてもらっても構わない。しかしその異端児達の集団こそが、落語を使って現代の大衆と向き合ってきたし、その遺伝子を引き継ぎ、闘い続けなければならないと思っている。それは昨年亡くなった立川流家元立川談志がその人生を掛けてやって来たことだからだ。

と、ここまで鼻息荒く書いてきたが、「で、そもそも落語ってなんですか?」という疑問を持つ方もおられるだろう。これが簡単に説明できたらこんなに楽なことはない。今までそういう質問を直接投げかけられたことがなく、またその返答を真剣に考えたことがないので、今実に困っている。「逆に何だと思います?」などとつまらない返事をしてみるか、それとも「人生そのものです」と一見まともな答えのようでいながら、結局何にも答えていない返事をするべきか。いっそ、聞こえないフリをするのが一番なのか。

とりあえず自分自身の紹介をすることで、その答えを探ってみることにする。私は立川流の落語家立川志ら乃。平成10年3月に立川志らくに入門し弟子になる。昨年亡くなった故立川談志からすると孫弟子にあたる。現在の身分は二ツ目。芸歴は15年目に突入した。一応の自己紹介をしてみたが、これでどれだけの人が理解したのであろうか。「二ツ目」って何?

それに「立川」って「たてかわ」なの「たちかわ」なの?15年もやってるのに、世間で全然名前を聞かないけど大丈夫?などいろんな疑問が増えただけかも知れない。

落語についてそこそこ知っている人であれば、「何をいまさら」と思われるかもしれないが、未だに「たちかわさん」と言われるし、「二ツ目の次は三ツ目なんですか?」と聞かれる。また二ツ目を二枚目と勘違いし、「自分で二枚目って言っちゃうんですね」と苦笑されたこともあった。まぁ「萩原さん」が一生いろんな人から「おぎわらさん」と言われ続けることを考えれば少しは気も楽にはなるが。

立川は「たてかわ」、志ら乃「しらの」と読む。そんな落語家立川志ら乃の目を通して感じたものや、立川流の落語とは何か?など、ない知恵を絞って綴って行きたい。

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