澤田洋史のカフェ進化論 Vol.8

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限定時間内で集中的にとびきりのコーヒーを

先日、7年ぶりにポートランドへ行ってきました。ポートランドはシアトルの南に位置する、美しい都市です。カフェはこれまでシアトルが一番盛り上がっていましたが、働いていたバリスタたちがサンフランシスコ、ロサンゼルスなど南に移ってコーヒーショップを次々にオープン。ポートランドにもいいカフェがたくさん出来ていました。

そこで僕の目を惹きつけたのが、ハンドドリップでの抽出。今アメリカでは、手動でお湯を注ぎ入れるその技術が注目を集めているのです。人の手で淹れると温もりも伝わるし、手作り感や価値観が増すのでしょう。日本でハンドドリップとなると、昔の喫茶店文化のようなちょっと堅苦しいイメージが浮かびますが、アメリカではとてもカジュアルで、お客も肩の力を抜いて気楽に飲める感じ。バリスタの格好もTシャツにタトゥー、それにひげ面みたいな(笑)。逆にそれが絵になっています。

今回アメリカに行って、現地のバリスタを目の当たりにして、改めてスタッフの働き方もそのカフェのブランディングのひとつだと実感しました。僕の店の営業時間が他のカフェより短い話は前にもしましたが、アメリカの店も正に営業時間が短い。開店時間は早いけど、明るいうちにもう看板をしまって、向かいのビアパブで会話なんかを楽しんでいる。そしてカフェが開いているうちは、向かいの店のスタッフが出勤前にコーヒーを飲みに来てるんですよね。見事な入れ替わりで、なんというかお店の役割というものがちゃんとあっていいなと思いました。コンビニエンスストアは24時間開いているほうが便利ですが、そんな生活に僕らは慣れすぎていますよね。

バリスタもオフの時間をどん欲に楽しんでこそ、感度の良いお客様にも来ていただけるような魅力が生まれると思います。お店もそれぞれ、その日の役割を終えたら交代する。そんなヘルシーな構図を、アメリカで見せつけられたような気がしました。営業時間内に間に合うように、お客様に時間を合わせて来てもらえるような、そんな魅力ある店でありたいですね。例えばボクシングで12ラウンドをフルに闘って判定で最後に勝つのも勝利ですが、やっぱり僕は6ラウンドでKOして帰るほうが効率がいいしカッコいいと思ってしまう。集中的にいい仕事をして、翌日にのぞむ。そんな店を目指し続けたいです。

 

Cafe 2 澤田洋史 Hiroshi Sawada
バリスタ。ラテアーティスト。大阪府出身。食品メーカー勤務後、アメリカ・シアトルに留学。そのときラテアートに出会い魅せられる。帰国後は再び食品メーカーに勤務するが、コーヒーの道を志すため独立。2008年Free Pourラテアートワールドチャンピオンに輝き、2010年自身がプロデュースするコーヒーショップ「STREAMER COFFEE COMPANY」をオープン。

 

STREAMER COFFEE COMPANY
東京都渋谷区渋谷 1-20-28 宮川ビル 1F
TEL03-6427-3705
http://streamercoffee.com/
Cafe 1

 

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