澤田洋史のカフェ進化論 Vol.4

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ラテアートの大会に挑戦する(1)

シアトルは、自他共に認めるコーヒーの聖地。毎年開催されるコーヒーフェスタには、世界中から大勢のコーヒー関係者が集まります。その展示会のメインイベントが「フリーポア ラテアート チャンピオンシップ」です。

腕自慢が技を競う 「フリーポア ラテアート」の大会は、毎月全米のどこかで開催されているほど人気があります。中でもこのシアトルの大会を制することが、世界中のバリスタの憧れであり目標なのです。何しろ優勝者に与えられる「チェンピオンズブレスレット」が、カッコいい。加えて優勝賞金が5000ドルです。僕は幸運にも2008年9月14日に開催された、このシアトルの大会で優勝したのでした。
僕は2006年から「フリーポア ラテアート」の大会に参加するようになりました。仕事でアメリカに赴任中に、あるカフェで偶然出会った「ラテアート」に魅せられ、その道に進む決心をしたのが32歳の時。それから専門の学校に進み、技を研究し腕を磨き、チェレンジを始めたのです。

シカゴやワシントンDC、ラスベガスなどの大会に出るため、その都度海を渡りました。もちろんすべて自費での参加ですから、渡航や滞在に毎回大きなお金が消えていきます。それでもベスト5が最高位。参加する度に後ろめたくなり、「これで最後にしよう」と、心のどこかに棘が刺さったような、今にして思えば煮え切らない気持で参加し続けていた訳です。ところがある大会の最中に父が亡くなり、帰国したときには葬儀は全て終わっていたんですね。父親を葬送することも叶わず、結果も出せない。正直自分が嫌になりました。が、ここで負けては父親に会わせる顔もないと気が付き、そこで一念発起したのです。

それからは練習に没頭し、毎日200杯ものラテアートを描きました。風呂にもミルクピッチャーを持ち込み、すくった湯を湯船に注ぎながら、湯が描く軌跡を繰り返し繰り返し確認し、注ぎ方次第で変わる水紋を頭に叩き込みます。ミルクピッチャーが腕の一部になるくらい、来る日も来る日も練習に明け暮れました。あるとき、小便がどのように渦を巻いて便器に吸い込まれていくのかを真剣に見ている自分に気が付き、頭がおかしくなったのでは?と思ったほどです。

そして運命のシアトルの大会がやって来ました。

 

Cafe 2 澤田洋史 Hiroshi Sawada
バリスタ。ラテアーティスト。大阪府出身。食品メーカー勤務後、アメリカ・シアトルに留学。そのときラテアートに出会い魅せられる。帰国後は再び食品メーカーに勤務するが、コーヒーの道を志すため独立。2008年Free Pourラテアートワールドチャンピオンに輝き、2010年自身がプロデュースするコーヒーショップ「STREAMER COFFEE COMPANY」をオープン。

 

STREAMER COFFEE COMPANY
東京都渋谷区渋谷 1-20-28 宮川ビル 1F
TEL03-6427-3705
http://streamercoffee.com/
Cafe 1

 

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