澤田洋史のカフェ進化論 Vol.3

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国が変わればミルクも変わる

前回はシンガポールにオープンするカフェに呼ばれ、現地で若いバリスタたちにスキルアップの指導をした件に触れました。「フリーポア ラテアート」のテクニックを伝授したのですが、ここでポイントになるのがミルクです。

「フリーポア ラテアート」でまず肝心なのが、泡を作ることです。きめ細かな泡を作ることが出来れば、口当たりも滑らかで美味しいカフェラテになります。この泡の出来不出来が、ミルクの質に大きく左右されるのですね。

シンガポールは赤道近くに位置する小さな国。牛は気温が25℃を越えると乳の出がとても悪くなるので、ミルクはオーストラリアからの輸入に頼っています。長い距離の輸送や通関などで時間がかかるため、高温で念入りに殺菌処理していることは言うまでもありません。

アメリカも国土が広いため、高温殺菌が一般的です。それに加えて、1ガロン(3.785リットル)という大きな容量でパッケージされているため、使い終わる頃のミルクが劣化することも考えられます。

このように、国によってミルク事情は違ってきます。ですから、それぞれのミルクに適したスチームが必要になる。これがとても難しいんです。上手く泡立てるには、何よりそのミルクに慣れることが肝心です。何度も何度もトライし、ミルクの性質を掴みます。

実際の作業では、ミルクの量とその温度を考慮に入れ、スチームを開始します。湧き出る泡の大きさやスピードを見ながら圧を加減し、最高の泡立ちのタイミングで止めます。口で説明するのも難しいし、やっても難しい。98%くらい満足できても残り2%を完璧に仕上げるのは至難の業です。もちろん、季節や日々の天候にも左右されます。

考えるに、最高品質の牛乳はオーガニック・ミルクでしょうか。有機栽培の牧草を食べさせ、ホルモン注射は打たず、抗生物質も与えない。これはとても美味しいミルクですから、敢えてコーヒーと混ぜる必要もありませんね。

お店で提供するカフェラテを考えると、コスト面も含めて一番ベストなミルクは成分無調整&低温殺菌です。日本の牛乳は1リットルパックで使い切りがいいし、新鮮なものが毎日届くので、美味しいカフェラテを常に提供できます。国土が狭ことが幸いしている、ひとつの良い例でしょうか。

 

Cafe 2 澤田洋史 Hiroshi Sawada
バリスタ。ラテアーティスト。大阪府出身。食品メーカー勤務後、アメリカ・シアトルに留学。そのときラテアートに出会い魅せられる。帰国後は再び食品メーカーに勤務するが、コーヒーの道を志すため独立。2008年Free Pourラテアートワールドチャンピオンに輝き、2010年自身がプロデュースするコーヒーショップ「STREAMER COFFEE COMPANY」をオープン。

 

STREAMER COFFEE COMPANY
東京都渋谷区渋谷 1-20-28 宮川ビル 1F
TEL03-6427-3705
http://streamercoffee.com/
Cafe 1

 

写真/金谷浩次

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