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これを作った謎の生物の正体は!

海底に突如現れた謎の幾何学模様は、
芸術家肌のフグが作る美しい産卵巣だった!

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人類が21世紀に足を踏み入れた15年ほど前のこと。奄美大島沖10〜30mの海底で美しい砂の文様が発見された。直径2mほどの円形に刻まれた幾何学模様は芸術性が極めて高く、ダイバーを中心に話題になった。だが、誰がどのように作ったのか、皆目見当がつかなかった。
 その後、このミステリーサークルは毎年4月から8月にかけて現れることが判明。そして2011年5月、水中写真家の大方洋二氏がこのサークルを作る魚の撮影に成功したのである。この報を受けたNHKの取材チームがすぐに調査を開始し、魚の研究者である国立科学博物館の松浦啓一氏が研究を行った。その後、現地ダイバーの協力を得ながら約2年にわたって調査を行ったところ新種のフグだとわかり、2014年9月に論文を発表。アマミホシゾラフグと命名された。
 そして、米ニューヨーク州立大・国際生物種探査研究所が今年発表した「世界の新種トップ10」に、このアマミホシゾラフグが選ばれたのである。新種として登録される生物は毎年約1万8000種にものぼるが、日本の固有種が選ばれたのは今回が初めて。海底に芸術的なサークルを作るという、ユニークな行動が評価されたという。

1週間かけて作る産卵巣

 調査・研究の結果、このサークルはメスが卵を産むための巣であることが判明した。体長約12cmのオスがメスをおびき寄せ、卵を産んでもらうために体を使って海底の砂を掘り、直径約2mの幾何学的な模様の円を約1週間かけて作り上げる。メスは円の中心に卵を産み、この複雑な模様によって潮流が円の中心へ向かい、新鮮な海水が卵に供給されるという。産卵巣を作る魚は他にも見られるが、ここまで精巧なものを作る魚は極めて稀である。
「放射線状の線は24〜30本と個体によって差が見られ、巣のでき具合によってモテるオスとモテないオスの差があるのではないかと推測しています。また、ゴミと貝を区別しながら巣の周りに飾りのように置くなど、ほかにも興味深い習性がたくさんあります」
 と松浦氏。ミステリアスなアマミゾラフグの調査はまだまだ続く。

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松浦啓一さん

独立行政法人国立科学博物館名誉研究員。
専門分野はフグ、カワハギ、珊瑚礁性魚類などの系統や分類、分布など。
魚類図鑑の監修なども行っている。

文/JQR編集部

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